それは職場の同僚のお葬式の日だったんですよね。
お経が始まると急に立ちくらみがして呼吸ができなくなって気持ち悪くなり、うずくまってしまったんです。とても体がだるくてだるくて、誰かにのしかかられるようで。少し横になって落ち着きはしたので,とりあえず母に電話して帰ることにしました。
母に電話して自分の体調を話すと、母はやさしい声で「わかったからすぐに帰っておいで」と私に話してくれました。家に着くと母は玄関で待っていて、母の手には塩が盛られていました。母はじっと私の肩のあたりを見つめては怖い顔で塩をかけてくれました。私は「なんだろうな」と思っていたんですが、少しするとだいぶ気分も和らいで落ち着いてきました。母は「私もそうだったんだよ」と話し始め、霊感のことについてはじめて知ることになったんです。そう、それが霊がついたんだなってわかりました。
それから私は霊をしばしば目撃するようになりました。わからない人に話すとバカにされるので言いませんけど、母や霊感の強い人と一緒にいると同じ霊が見えるんです。それは女の人だったり、子どもだったりいろんな霊です。一度びっくりしたのは、崖の上で海を見ているときに、小さな子どもが海に向かって走り出したことを見た時です。その時は一緒にいた友人も真っ青になって、とてもいいお天気の日でたくさん人も出ていたんですが一目散に家に戻りました。
もちろん見えるだけじゃありません。霊は見える人に憑くことが多いんです。多分この世に残してきた未練や思いを誰かにわかって欲しい、供養して欲しいと思うんじゃないでしょうか。私はできるだけ自分に憑いた霊には供養してあげるようにしているんですけれど、中にはとても怖い霊もいるんです。
ちょっと前のことになりますが、腕が痛くて痛くて病院に行っても特に心配はないと言われ、それでも痛くてずっとしシップを貼っていました。たまたま、母が友人の所に送っていってくれというので実家に戻ったんですが、それはそれは母は怖い顔をして私を見るんです。そして顔を見るなり「調子悪いんだろう」と聞かれました。私も憑かれているなとは思っていたんですが、どうしようもなくてそのままにしていたんです。母はすぐに行こうと言って、私に運転させてある人の家に向かいました。
その先生の家は本当に普通の団地にある家でした。先生とはいわゆる霊媒師で、私も以前そんなことを聞いた覚えはあるんですが、本物に会うのははじめてでした。母に「友だちなの?」と聞くと、母は「とんでもない。えらい先生だよ」と。私は「えっ、お金かかるんじゃないの」というと、母は「そんなこと言ってる場合じゃないよ」と叱られてしまいました。
先生は私を見るなり、母に目配せをして私を奥へ通し、すぐさま除霊を始めました。私は何が何だかわからず、ずっと先生の前に座りっぱなしでした。先生はひどく大げさでわからないことを話しながら、何か白い布のようなものを持ちひたすら祈っているようでした。「なんだろうなあ」と眺めているうちに、いつの間にか私はもうろうとしてきて気を失ったようです。気がつくと汗びっしょりになって仰向けに寝ていました。起きようとしてもすぐには起きられず、本当に全身の力が失われた感じがしていました。
先生は「傷ついた野武士ほど恐ろしいものはないね」と母と話しており、私にも憑いた霊のことを説明してくれました。どうやら右腕を無くした野武士の霊で、怨恨もただならぬものだったようです。それから、私には悪いというか厳しい怨恨を持った影響を与える霊を見抜くことができるようになりました。恐ろしい霊は黒い影が明らかに見えるんです。でも、心配しないでください。そんなにたくさんはいませんから。もちろん、溜まっている場所は決まっているんですけどね。
どんな風に霊が見えるかって、だいたい霊はボーッとうっすら白い影が見えるんです。私には顔まではっきりはわかりませんが、日本人か外国人かってことぐらいはわかります。母はもっとよく見えるみたいで、町を歩いていると区別がつかないなんて笑っていたこともありました。なんか気持ち悪いですけどね…。
そうそう、こんなこともありましたよ。救急車とすれ違ったときに子どもに「救急車だよ」って言った途端にバックミラーに子どもの頭が1つ余計に見えちゃったんです。この時はしまったと思いましたね。ちょっと先に行った所で案の定事故ですよ。「来ちゃったんだ」みたいなね。まだ小さな子で本当にかわいそうでしたね。おやつをあげてお線香をたいて帰ってもらいましたけど。子どもはわからなかったみたいですけど、なんだか変な顔してましたね。私も変な遺伝しないといいなって思ってますけど。
子どもっていえば、やっぱり無垢なうちってよく見えるみたいですよ。ほら、よく子どもがじっと片隅を見ていたり、赤ちゃんが同じ方向を向くと笑っていたりってあるじゃないですか。それってやっぱり見えているんです。子どもの周りにいるのはだいたいは子どもの霊なので悪いことはしませんけど、考えようによってはちょっと怖いですよね。
まあ、私もそうなるまでは全然信じてはいなかったんですけど、こうなると信じるとか信じないじゃなくて現実にそこにいるわけですから否定のしようがありませんよね。
あなたにもいつか見える日が来るかもしれませんよ。