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ネグレクト
必要とされるネットワーク


高度成長期以降、家族は核家族となって孤立し、しがらみのない郊外へと流出した。あるいは近隣との接触を避けるための団地=マンションへ。もはや地域は存在しないとも言われている…。

それほどまでに嫌われてきた「地域とのつながり」。人はどのような場合でも孤立して生活することはできない。自己を中核とした心地よさと引き替えに地域は崩壊し、そして物質的豊かさの代償として生活基盤は脆弱になった。ようやく今頃になって人々は危機感を感じ始める。福祉や教育を言い訳にして盛んに「地域・地域」と叫ばれはじめた。

餓死寸前で保護された岸和田の中学3年生。「いったい誰もわからなかったのか」という疑問を誰しも持つはず。この家庭、実は近所ではうわさになっていたという。しかも学校・児童相談所は虐待を疑い、親と面会しながらも適切な対応を取れなかったことも事実である。しかし、公的機関を批判する以前に考えるべきことはないだろうか。

ダンボール箱の中で3歳の誕生日を迎え、それから1ヶ月もしないうちに餓死した真奈ちゃん。ネグレクトの親に育てられた母親、仕事とテレビゲームに逃避没頭する父。医師・保健師は虐待を疑うが、やはり適切な対応を取れなかった。果たして彼らだけを責めることはできるだろうか。それ以前に虐待を知るべきだったのはいったい誰なのか。

岸和田事件の親の世代は「新人類」と呼ばれ、「無責任・無関心・無気力」と形容された。真奈ちゃんの親の世代は「ジコチュー」、真奈ちゃんのおばあちゃんの世代は奇しくも「新人類」であった。共通するのは「無関心」ではなかったか。そして、地域もまた「無関心」ではなかったか。

古代から「わずらわしさ」や「うっとうしさ」を超えて地域は存続してきた。文字通り社会の最小単位として。それは欧州でいえばコミューン、日本の市町村単位だが、その規模は日本の市町村の平均値40,000人に対して欧州では平均3,900人が最小単位だ。おのおのの自治体は行政権を持っているからきめ細かい施策ができる。当然コミューンそのものの結束力も日本とは段違いとなる。欧州には政治に直結した地域が存在している。

とはいえ、日本でも慣習法に基づいた集落が常会として機能している地域もまだまだある。「ちゅらさん」は離れてもつながっている地元の力を鮮明に写し出して見せてくれた。法に基づいていないことで、より拘束力が強い地域。それを「うっとうしい」と思うか、それとも「頼もしい」と考えるか。

子どもへの虐待を防ぐには広範に渡るネットワークが必要とされる。それは臨床心理士や医師、弁護士、教員といった「いわゆる専門家」だろうか。彼らは虐待がどうしようもなくなってから必要とされるネットワークだ。最も必要とされるているのは、虐待防止のネットワーク、地域のご近所のおっせいかい者のネットワークではないだろうか。

書名:ネグレクト 育児放棄―真奈ちゃんはなぜ死んだか
筆者:杉山 春
出版:小学館
価格:1,365円
ページ:253ページ
発行:2004年11月
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