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よく人間は脳の数パーセントしか使っていないといわれるけど,実態はわからない。なぜなら人体実験はナチス以降は公にされてないし,せいぜい脳波とかCTとかMRIとかから推測するだけだし,現物といっても死んじゃった組織だけだから検証しようがないわけ。
サヴァンにしても左脳の機能障害を右脳が補完して…,というような推測されてるけど実態は不明。しかし,いずれにしてもその能力の爆発力は破格だ。最近「超記憶症候群」っていうらしいけど,
生活のすべての記憶から逃れることができないジル・プライスさんが話題になった。次から次へと記憶が目の前に再現されるってんだから,そりゃ辛いだろうね。忘れるっていうのも元来生存のための機能なのかもしれないね。よく死ぬ直前に「走馬燈のように…」って話しがあるけど(走馬燈なんてみたことないけど…),そんな感じで実はすべて脳にはストックされてるのかもしれない。
自閉症の人がカレンダーとか電車とか好きなのはよく知られてるけど,Daniel TammetとかKim Peekにまで至ると「天才が病気を凌駕する」ってことでその才能は恐るべきもんだ。普通,自閉症の世界では規則正しさが大きな意味を持っていてこだわりが強くてちょっとでも序列が崩れるとパニックになるということはよく聞く。でも,数字が独自の姿や色を持ち,幾何学的美しさを持つとしたら,なんだかハイパー?だなあ。計算すらしていなのに,πのイメージがどんどん見えてくるというのは記憶ではなくて,一種の物語を覚えているとすらいえるのかもしれない。
写真のように脳に記憶が刻み込まれる。触ったこともないのに一度聞いただけでコンチェルトを完璧に弾きこなす。こんなことができたらすごいなって思う反面,そのことだけで思考がいっぱいになるってものすごいストレスかもしれないね。しかし,彼らは知的障害者だから,自分でその才能をどうこうするってとこまでいかない。それをどうこうしようってのはやはり一般人なわけで,彼らを資源としてどう活用しようか,その才能をどう社会に生かしていくかは一般人の責任ってことになるんだろう。Tammetはこれだけの本を書いたり,自分で選択した行動を積極的にとれるわけだからかなり社会への適応はOKなんだろうけど,それにしても彼を理解してサポートしてくれる人の存在は大きいはずだ。
しかし,知的トラブルがなくて天才ってのもいるわけで,昔の五島みどりあたりがそうなんだろうけど,超の付くものを持って生まれた人が超の付くトレーニングで開花するってこと。ひょっとしたら多くの人は何らかの超を持つものを持っているけど,案外開花せずに一生を終えているのかもしれないなんて思うけど,実際はそう簡単な話じゃないだろう。